ウェブサイトに訪れるユーザーにとって、お問い合わせフォームは重要なコミュニケーション手段のひとつです。しかし、入力項目が多すぎると、ユーザーはフォームの途中で面倒になり、離脱してしまうことが少なくありません。実際に、データによると、5つ以上の入力項目があるフォームは完了率が低下するという報告もあります。
多くのビジネスでは、できるだけ多くの情報をユーザーから収集したいと考えがちですが、訪問者に負担をかけすぎると、逆にコンバージョン率が低下してしまいます。この記事では、簡潔で効果的なお問い合わせフォームをデザインするための方法について、実際の事例を交えて詳しく説明します。
お問い合わせフォームの現状と課題
お問い合わせフォームは、ユーザーと企業とのコミュニケーションを促進し、商品やサービスに対する疑問を解消する大切な役割を担っています。しかし、以下のような問題が発生しがちです。
- 入力項目が多すぎる
ユーザーが名前、メールアドレス、電話番号、住所、メッセージ内容など、複数の項目を入力するのは非常に手間がかかります。特にスマートフォンからアクセスしているユーザーにとって、長いフォームは非常にストレスフルです。 - 不必要な情報の要求
企業が収集したい情報が多すぎるために、必ずしも必要でない情報まで入力を求められるケースがあります。これによって、ユーザーは「なぜこんなに多くの情報を提供しなければならないのか」と疑問に感じ、離脱する可能性が高まります。 - フォームのデザインが分かりにくい
フォーム自体のデザインが視覚的に複雑であったり、どの情報をどこに入力すればよいのかがわかりにくかったりすると、ユーザーは途中で混乱してしまいます。直感的でわかりやすいフォームデザインであることが求められます。
フォーム完了率を向上させるための具体例
ここでは、実際にお問い合わせフォームの改善によりコンバージョン率が向上した事例をいくつか紹介します。
事例1：ECサイトの入力項目削減でコンバージョン率アップ
あるECサイトでは、商品の購入や問い合わせをする際に、詳細な情報を入力するフォームが用意されていましたが、10項目以上の入力が必要なため、フォームの完了率が低いことが問題でした。そこで、ユーザーにとって最も重要な「名前」「メールアドレス」「メッセージ内容」の3つの項目だけに絞り、他の情報はフォーム送信後に確認するようなフローに変更しました。
その結果、フォームの完了率が約25%向上し、購入や問い合わせの件数が増加しました。この事例からもわかるように、ユーザーにとって重要な情報だけを最小限に求めることで、完了率を向上させることができるのです。
事例2：BtoB企業のシンプルな問い合わせフォーム導入
BtoB向けのサービスを提供している企業では、以前、詳細な業務内容や年間売上などを入力させる長いお問い合わせフォームを使用していました。これにより、フォーム完了率が非常に低く、問い合わせ数が伸び悩んでいました。原因を分析したところ、ユーザーが途中で離脱する主な理由は、不要な情報を求められることにストレスを感じていたことがわかりました。
そこで、フォームの項目を「会社名」「担当者名」「メールアドレス」「問い合わせ内容」の4つに絞り込み、その他の詳細な情報は、問い合わせ後にメールや電話でフォローアップする形式に変更しました。この結果、フォームの完了率が40%改善され、商談の数も増加しました。
シンプルなフォームデザインのメリット
ここまでで説明した通り、フォームの入力項目をシンプルにすることで、ユーザーの離脱を防ぎ、コンバージョン率を向上させることができます。以下の具体的なメリットも挙げられます。
- ユーザーのストレス軽減
必要最小限の情報だけを入力することで、ユーザーがフォームに費やす時間と労力を削減できます。これにより、フォーム完了率が向上し、離脱が減少します。 - モバイルユーザーへの配慮
モバイルデバイスからのアクセスが増える中で、スマートフォンの小さな画面でも簡単に操作できるシンプルなフォームは特に重要です。タッチ操作で簡単に入力できるレイアウトや、短いフォームはモバイルユーザーにとって好印象を与えます。 - コンバージョン率の向上
シンプルなフォームは、ユーザーにとっての心理的なハードルを下げ、最終的な送信完了までのステップを短縮します。これにより、ビジネスへの問い合わせや購入の機会が増え、結果的に売上や商談数が向上することが期待できます。
効果的なお問い合わせフォームを作成するためのポイント
では、具体的にどのようにして効果的なお問い合わせフォームを作成すればよいのでしょうか？いくつかの重要なポイントを見ていきましょう。
- 最小限の入力項目に絞る
最も重要な情報を収集するために必要な項目に絞りましょう。一般的には「名前」「メールアドレス」「問い合わせ内容」の3つが基本です。それ以外の詳細情報は、必要に応じてフォーム送信後にフォローアップするのが望ましいです。 - プログレッシブなデータ収集
一度に多くの情報を求めるのではなく、段階的に必要な情報を収集する「プログレッシブ・プロファイリング」を取り入れることも効果的です。初回は最小限の情報を取得し、後日さらに詳細な情報を確認することが可能です。 - 視覚的にわかりやすいデザイン
フォームのデザインはシンプルで直感的に操作できるものでなければなりません。ボタンの配置や文字の大きさ、空白の使い方にも気を配り、ユーザーがすぐにどこに入力すればよいのか理解できるデザインを心がけましょう。 - 自動入力や候補表示の活用
特にモバイルユーザーにとって、住所やメールアドレスの自動入力や候補表示機能を活用することで、入力の手間を省くことができます。これにより、フォーム完了率がさらに向上します。
結論
お問い合わせフォームは、ユーザーとビジネスを結ぶ大切な要素です。しかし、フォームが複雑すぎたり、不要な情報を求めすぎたりすると、ユーザーの離脱を招いてしまいます。実際の事例に基づいても、入力項目を最小限にし、シンプルで直感的なデザインを採用することが、フォーム完了率の向上に寄与することがわかります。
最終的には、ユーザーができるだけストレスを感じずにフォームを完了できるような工夫が必要です。小さな改善が、コンバージョン率や売上に大きな影響を与えることを忘れずに、フォームデザインに取り組んでいきましょう。
